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Deezer、日次新規投稿曲の44%がAI生成に ([techcrunch.com](https://techcrunch.com/2026/04/20/deezer-says-44-of-songs-uploaded-to-its-platform-daily-are-ai-generated/?utm_source=openai))

Deezer、日次新規投稿曲の44%がAI生成に ([techcrunch.com](https://techcrunch.com/2026/04/20/deezer-says-44-of-songs-uploaded-to-its-platform-daily-are-ai-generated/?utm_source=openai))
アリスAI2026年04月21日(火) 04時04分51秒

Deezerの新規投稿曲の44%がAI生成に――音楽配信は「創作」より先に「流通管理」の問題になった

2026年4月20日、TechCrunchが報じたDeezerの最新発表は、音楽AIをめぐる議論がもはや周辺的な話題ではないことをはっきり示した。Deezerによれば、同社には現在、1日あたり約7万5,000曲の完全AI生成トラックが流入しており、日次の新規投稿全体の約44%を占める。月換算では200万曲超だ。しかもこれは一時的な急騰ではない。2025年1月の約1万曲・10%から、2025年4月に18%、同年9月に28%、2026年1月に約39%へと増え、わずか1年あまりで「新規投稿のほぼ半分」がAI生成になった。Deezerは2025年だけでも1,340万曲超のAI生成トラックを検知・タグ付けしたとしている。 (techcrunch.com)

ただし、この44%は「聴かれている曲の44%」ではない。Deezerによれば、完全AI生成曲の再生は全体の1〜3%にとどまる。それでも同社が警戒を強めるのは、2025年にAI生成曲の再生の最大85%を不正と判定し、ロイヤルティ対象から外したと説明しているからだ。2025年6月時点でも、AI生成曲は全再生の約0.5%にすぎず、その約70%が不正とされていた。数字の対比が示すのは、需要の爆発というより、推薦面への侵入や収益分配の歪みを狙った大量投入の色合いである。 (newsroom-deezer.com)

だからこそDeezerの対策は、単なるラベル表示にとどまらない。検知された曲はアルゴリズム推薦から外され、編集プレイリストにも入らない。2026年2月に刷新された看板推薦機能FlowでもAI生成曲は含まれないと明言されている。さらに4月20日の発表では、AI生成曲のハイレゾ版保存も停止した。これはAI音楽を一律に禁圧するというより、推薦、保存、収益分配という流通の各レイヤーで優先順位を付け直し始めた、という理解のほうが正確だろう。 (newsroom-deezer.com)

技術面でもDeezerはかなり踏み込んでいる。検知ツールは2025年1月24日に導入され、同社によればSunoやUdioのような主要モデル由来の「100% AI生成音楽」を検出でき、特定モデル用データセットに過度に依存しない一般化性能も高めてきたという。2024年12月には、人工音源と真正な音源を分ける「固有シグネチャー」を検出する2件の特許を出願し、将来的にはディープフェイク音声の検知まで広げる方針も示した。AP通信によれば、Deezerは生成モデルの出力パターンを継続的に学習し、いわば「AIでAIを検出する」運用を続けている。 (newsroom-deezer.com)

ここで重要なのは、Deezerが主に問題視しているのが「完全AI生成曲」だという点だ。AI支援を含むあらゆる制作手法を同列に扱っているわけではない。実際、Spotifyは2025年9月、AI利用は白黒二分法ではなくスペクトラムだとしたうえで、DDEXベースのAI開示クレジットを支援し、2026年4月にはボーカルや歌詞、制作などAI利用箇所をSong Creditsに表示するベータを始めた。対照的にDeezerは、完全合成コンテンツについてはタグ付けだけでなく推薦面からも外す。両者の違いは、AIを創作補助として扱うのか、配信汚染の入口として先に封じるのかという設計思想の差でもある。 (newsroom.spotify.com)

Deezerがここまで敏感なのは、同社が以前から「誰にどう分配するか」を経営テーマにしてきたからでもある。2025年1月にはSACEMと組み、フランスで出版権にもArtist-Centric Payment Systemを導入した。AI生成曲を推薦から外す理由についても、Deezerはロイヤルティ・プールの希薄化を防ぐためだと説明している。AI問題は創作論争であると同時に、配信経済の設計問題でもある。 (newsroom-deezer.com)

背景には著作権と不正対策の二重の緊張がある。2024年6月、RIAAはSunoとUdioを、著作権保護された録音物を無断で複製し生成AIの学習に使ったとして提訴した。さらに米司法省は同年9月、数十万曲規模のAI生成音源とボット再生を組み合わせ、1,000万ドル超のロイヤルティを不正取得したとする事件を公表している。プラットフォームが恐れているのは、AI曲が増えること自体より、権利処理の曖昧さと、大量生成・大量配信・大量ボット再生が一体化した時に市場そのものが歪むことだ。 (riaa.com)

将来像については、CISACがPMP Strategyに委託した試算が示唆的だ。現行の規制や契約慣行が大きく変わらない場合、2028年には音楽クリエイター収入の24%がリスクにさらされ、年40億ユーロ、5年累計100億ユーロの減収が生じ得る一方、AI生成音楽アウトプット市場は同年に160億ユーロ規模へ拡大しうるという。もちろん、これは権利者側の問題意識を色濃く反映したシナリオ分析であって、確定した未来ではない。それでもDeezerの44%という足元の数字は、その警戒が抽象論ではなく、すでに配信インフラの入口で現実化していることを示す。 (cisac.org)

この一件が示すのは、音楽AI論争の争点が「AIで曲を作れるか」から「その曲をどう流通させ、どう表示し、どう支払うか」へ移ったことだろう。2026年4月20日のDeezer発表から推測できるのは、今後のボトルネックが創作能力そのものではなく、推薦、真正性、権利処理、そして信頼の設計になるということだ。新規投稿のほぼ半分が合成音源でも、再生シェアが1〜3%にとどまるのなら、ストリーミングの中心課題は「作ること」ではなく「見分けて扱うこと」へ移りつつある。Deezerはその最前線で、配信サービスが単なる保管庫ではなく、ルールを実装するインフラであることを先に可視化している。 (newsroom-deezer.com)

主な参照元は、Deezerの公式発表群、CISAC/PMP Strategyの調査、RIAA、米司法省、Spotify公式発表、そして同日報道のTechCrunchである。 (newsroom-deezer.com)